現時点における、XHTML のメリットはありません。逆に XML宣言を行うことで UA の実装によっては問題が生じるなどデメリットの方は確実にあります。XHTML1.0, XHTML1.1 は XMLベースに移行することを目的としているだけで、まだまだ従来の HTML と XHTML の間の架け橋となる仕様でしかありません。このため現時点において XHTML に移行したからといって、特別何か新しいことが出来るようになるわけではありません。もっとも、XHTML の規格を採用しようが、従来の HTML の規格を採用していようが、正しい (X)HTML を記述できていなければ、どの規格を採用するか云々の前にメリットを発揮する過程にも至っていないのです。結局は、正しい (X)HTML を記述することが一番大事なのです。
従来の HTML ではなく、何故わざわざ XHTML を採用する必要があるのでしょうか。現状では、XHTML を採用していることのメリットを実感することはありません。Steven Pemberton氏が、もしあなたの文書が、MathMLやSMILやSVGといったように、XHTML 1.0以上の文書型であるなら、HTMLといった文書型では得られないメリットが、もう眼の前にあるのです
と仰るように、これから将来に登場する XMLアプリケーションを利用することで、そのメリットが生まれてくるようです。
これらの XMLアプリケーションであれば現状でも利用することができます。たとえば、MathML を利用することで、従来のウェブページでは、数式はわざわざ画像化したりと、テキストで表現することが困難でしたが、数式の「構造」と「内容」を HTML のようにマークアップすることができるようになります。また、モジュール化された XHTML は必要な機能だけを選択できるように許可されており、DOM でデータベースと連携させれば、データの抽出や部分利用が行えたり、XSLT(XML文書を XSLT で XHTML文書に変換できる)による文書変換が可能になります。これらは、決して従来の HTML では得られない XHTML のメリットであり、メリットを実感することができるようになるのも身近な将来のことなのです。
なお、XHTML のメリットを享受しないという場合は、HTML4.01 に準拠することが認められています。つまり、XHTML だから従来の HTML だからどうのこうのではなく、根本的なことは HTML が構造付けをするマークアップ言語であることにあります。構造指定のために、現在の HTML から XHTML に移行する必要はありません。従来の HTML でも構造と表示を分離できていれば基本的には同じです。HTML 本来の役割に基づく構造を示すマークアップは、たとえ自分の知らない環境や、これから登場するかもしれない未来の環境でも利用できるウェブページ(ホームページ)、つまり「ユニバーサルデザイン」へとつながるのです。
以上の点から、以下に掲げる項目では、XHTML 単独のメリットというわけではなく、冒頭で述べたように従来の HTML を採用した文書であっても、XHTML を採用した文書であっても、構造と表示を分離した正しい (X)HTML を書いている、厳格(Strict)な文書であることのメリットを掲げています。また、以下に出てくる従来の制作方法とは、(X)HTML で構造と表示を指定した好ましくない (X)HTML の使い方をしている駄目な (X)HTML文書のことを指します。
表示の指定(文書のプレゼンテーション)を CSS に任せて、すべてのページにスタイルシートを記述したファイルを共有させれば、後はシンプルな (X)HTML文書を作成するだけです。同じレイアウトのページであれば、表示の指定をする手間が省けた分、効率的に作業でき、さらにすべてのページのデザインを統一して保つことができます。
企業や自治体などのサイトでは、W3C が策定した仕様や WAI が規格した「どんな環境・どんなハンディがあっても観覧できる事」に準拠して構造と表現を分離した文書を制作する事例が増えています。逆に従来の制作方法でしか作成する技術力がなければ、このような案件を受注することもできません。XHTML で作成することは制作者の技術力を示すことにもなります。
構造と表現を分離した文書は、アクセシビリティ対応も SEO対策も容易にします。XHTML で制作することは、必然的に厳密な書式を要求されることになり、適切なマークアップをすることによって、音声出力・点字出力の非視覚環境においても適切に表現する(読み上げる)ことが期待でき、さらに検索エンジンのロボットが情報収集する際にも認識されやすいといったようにアクセシビリティ・SEO を向上させる上でも効果的です。逆に従来の方法で制作された文書では、作業量が多い割には高い効果は望めません。
表示の指定(文書のプレゼンテーション)を CSS に任せることで (X)HTML文書はシンプルでメンテナンスの作業が簡単になります。デザインを変更したい場合も、スタイルシートを記述したファイルひとつを書き換えるだけで、このファイルを共有する全てのページのデザインを一度に変更することができます。また、制作段階で新たな仕様に変更になった場合でも、その時、その時の最新の仕様を採用していれば修正の作業も最低限に抑えることができます。
(X)HTML文書は、表示指定の HTML を省いた分の記述量の削減により、表示にかかる時間を短縮することができます。表示に時間のかかるとされる表関連要素(table要素など)も、(X)HTML文書ではレイアウトのために使われることはありません。また、XHTML では要素・属性の省略ができないため、UA も開始タグと終了タグの認識が早くなり、レンダリング(描写)の高速化へとつながります。
(X)HTML文書は、適切なマークアップをすることでアクセシビリティが向上し、ユーザー(観覧者)は環境を選ばずに、都合のよい環境で自由に利用することができます。
視覚環境 UA の多く(Internet Explorer を除く)はユーザー側で CSS を必要に応じて無効にすることができ、場合によって CSS が適用されていない方が見易いと、はじめから CSS を無効にしているユーザーもいます。さらには、見出しや強調部分、本文などの構造を示す要素に応じて、その表示方法を設定できるユーザースタイルシートや読み上げ方法を設定できる UA との親和性を向上させます。
構造と表現を分離した(X)HTML文書は スタイルシートの適用するメディアを限定することで、"print"(プリント)を対象とする専用のスタイルシートを用意すれば、印刷の際に不要な部分を取り除いておいたり、フォントサイズを小さくするなど、印刷環境に適した状態にレイアウトすることができます。
適切なマークアップは、ユーザーのアクセシビリティに対応するだけでなく、検索エンジンのロボットに対しても適切に情報を伝えることができ、ロボットも速やかな情報収集が行え、SEO対策にも効果的です。
ウェブブラウザの多くは、一度読み込んだデータをハードディスクに蓄えて、次からは高速にデータを閲覧することができるようにキャッシュ(cache)機能を備えています。容量の大きくなりがちな表示の指定をスタイルシートに一任しておけば、スタイルシートをキャッシュしておくことができるので、ファイルの転送量が大幅に減ってサーバーへの負荷を軽減できます。また、(X)HTML文書自体から表示の指定を省いた分、記述量を削減することにもつながります。
表示の指定(文書のプレゼンテーション)を CSS に任せることで、(X)HTML文書はシンプルでファイル自体の容量が少なく、スタイルシートを記述したファイルひとつを書き換えるだけで、このファイルを共有させた大量のページのデザインを一度に変更することができます。これにより追加・修正などのメンテナンス作業も効率的に行うことができます。
規格に従って適切に作られた (X)HTML文は、これから登場するかもしれない未来の環境でも利用できるユニバーサルデザインへとつながります。また、正しい文法で作られていれば、新しい仕様への変更があった場合でも、修正の作業を最低限に抑えることができます。